遠隔保育支援ロボットを用いた共有と伝達によるコミュニケーション法の提案
はじめに
近年の日本における子育ての負担を軽減するため、著者らのグループでは、テレプレゼンスロボットを応用した子育て支援ロボット ChiCaRo の開発、研究を行ってきた。これまでの研究では通信中におけるロボットの育児支援効果や性能について重点的に検証行ってきた。しかしながら通信外においてはコミュニケーション支援という点で、役割を十分に果たせずにいる。そこで、通信外において子育て支援ロボットがコミュニケーションをもたらす方法は何かないかという点を視野に置き、コミュニケーションをもたらす手法を提案する。
子育て支援ロボット ChiCaRo とは
提案手法
コミュニケーションを促す動作という点から、ChiCaRo で撮影した動画を選定、アルバム化し、操作者や保護者に見せることができるような機能を提案する。写真や動画という媒体を用いた共有と伝達によるコミュニケーションを促すことから、“思い出”を提示し、「また操作をしたい」と操作者に思わせ、操作意欲をかきたたせることを目標とする。また、ChiCaRo の役割である育児支援という観点から子供の成長の記録という利点も生まれると考えられる。
コミュニケーションを促す動作とは
コミュニケーションを促す動作として
- 経験、記憶の共有
- 思い出を語るという伝達動作
- 共通の体験や記憶を語ることからなる、つながりの確認
というものがある。
自動撮影機能
写真・動画というものは当事者が保存努力をしない限り散逸してしまうような情報群である。しかしながら、これらを家庭内で、特に子供と遊ぶ際、明確な目的をもって撮影、保存することは難しい。初めに示した子育て支援ロボット ChiCaRo では、子供と離れた場所であっても遊びながらコミュニケーションをとることができるロボットであり、操作者の目となる。
自分の記憶にはあるが、本来であれば、データとして保存されていない映像群を自動で撮影すること、さらにそれらすべてを提示するのではなく、印象的なシーンや何をしていたかが一目でわかるシーン、対象者の感情が分かるシーンを取捨選択することにより、人の記憶、思い出という部分に語りかけるシステムが出来ると考えられる。
アルバム機能
思い出を提示し、「また操作をしたい」と操作者に思わせるようにするには、簡単に情報を提示する必要がある。そこで、自動撮影機能と連動した電子的なアルバムを撮影機能とともに実装。この機能を実装することによって、果たして本当にコミュニケーションを促すことが出来るのか、コミュニケーションには何が必要なのかを考える。
課題
自動撮影機能、アルバム機能をコミュニケーションを促すツールとして使うために以下の研究を行う。
- 子供を対象とした、写真データの収集
- 動画ないから写真、動画を自動選定するシステムの構築
- アルバム機能の導入、および家庭内における通信外でのテレプレゼンスロボットについての調査、検証